サードについて

目次

古くは“ミスタージャイアンツ”長嶋茂雄が守ったポジションであるサード。
当時の東京において、草野球チームはどこでも背番号は“王の1”か“長嶋の3”を欲しがる子ばかりでした。
ところが、最近のプロ野球において1年通してサードで活躍するのは、ソフトバンクの松田と巨人の村田ぐらい…というスター選手不足。
従って、少年野球チームでも、サード志望という子はあまりいないというのが実態です。

サードの特徴

サードは“ホットコーナー”とも呼ばれるように、右の強打者から放たれた火の出るような当たりが、ガンガン飛んでくるポジションです。
従って、ボールを怖がってはいけません。
またボテボテのゴロが多い少年野球においては、前方へのダッシュ力が不可欠です。
1塁への送球距離も長いのですが、サードの人選にあたって私が重視するのは、どちらかというと肩の強さよりも横の打球に対するフットワークです。
3塁線への打球には“逆シングル”という特殊なグラブ捌きが迅速に要求され、三遊間の当たりには捕球できる最短距離への踏み出し後に、勇敢な“横っ飛び”が発生します。
その一方、サードの守備位置より後ろへの飛球は、基本的にショートに任せます。
背面走行での捕球は小学生にとってハードルが高いわりに、成功率の低いことがその理由です。
サードの見せ場は、放っておけばショートゴロになりそうな緩い当たりへの対応です。
オールドファンなら、ジャイアンツのサード長嶋がショート広岡の打球を横取りするシーンを何度も観たと思います。
この場合、“横っ飛び”も含めて、サードが横に動いて捕れるものは全てサードが捕る必要があります。
なぜなら、ボテボテが多い少年野球のショートが捕って1塁に送球しても、まず間に合わないからです。

サードに求められる能力

前項で紹介しましたが、サードは“ボールを怖がらない”ことが重要です。
右打ちの強打者が放つ強い当たりと対峙するのですから、強いハートも必要です。
一般的に少年野球のサードの守備位置は、“ボテボテ”対策でかなり前に守らせますから、時には顔や体に打球が直撃します。
そして、どんどん膨らむライナーへの恐怖心と、常に戦わなければなりません。
また、3塁線を抜かれることを“長打コース”というくらいですから、ライン際を抜かれないような位置に守らせます。
必然的に三遊間は広く開くことになり、左方向の当たりに横っ飛びでくらいつくステップワークも必要とされます。
その他、あまり知られていないことですが、少年野球の3塁はランナーが良く踏み忘れる塁です。
2塁を回ったランナーは、コーチャーボックスの子供がぐるぐる回す手につられてトップスピードで3塁を回るのですが、結構びっくりするくらいの頻度で3塁ベースを踏み越え(忘れ)ます。
それをきちんと毎回チェックして、涼しい顔でピッチャーからボールを貰い、3塁塁審の目を見ながらニコッと笑って3塁ベースにタッチすると、1点献上のピンチが大どんでんがえしでアウトとなります。
こうした、地道なチェックを続ける堅実さも、サードには必要なのです。

サードの練習法

セカンドについてでもお話しましたが、小学生の内野守備は“待って捕ってはダメ”です。
“待った”その一瞬がアダとなり、内野安打になってしまうからです。
特に、右打者がボールの上っ面を薄く叩いた時に転がる、“ボテボテ”ゴロの処理はサードが背負う永遠の課題です。
この場合、ピッチャーがマウンドを駆け下りて処理することも物理的には可能ですが、ピッチャーは体力温存が基本なので極力サードが処理します。
バッターランナーの脚力によっては、打球めがけてダッシュして捕球する時、既に送球体勢に入っていることが必要であったり、素手で捕って投げたりする必要も生じます。

他の野手同様、サードも“声かけ”が非常に大事です。
ピッチャー・サード・ショートが守る位置の丁度中間点あたりに、ふらふらっとあがる詰まったフライというのがよくあります。
この場合、基本的にピッチャーには捕らせませんが、日ごろからノックの時にフライ捕球の練習をやり、さらにその都度声かけの練習も積んでいないと試合で必ずボロが出ます。
また、3塁ベース後方のフライについて、我がチームでは基本的にショートに任せる責任分担になっていますが、それもチーム内で事前に周知徹底しておかないと、ショートが楽々と捕れるフライに対してサードが邪魔をしに来て、不必要なエラーが発生することになります。
サードの守備に慣れてきたら、5-4-3のダブルプレイ練習も重要です。
さらにチームのレベルが上がってきたら、ライト前ヒットやセンター前ヒットを打たれた場合で、1塁ランナーを3塁で刺殺する練習をします。
これはサードのタッチが特殊なことに起因して、特に繰り返し練習が必要です。
サードは捕球後に意識して“タッチをしにいく”と、グローブをスライディングで蹴り上げられ、ボールを弾いてしまうリスクが発生します。
そこで、サードは中継からの送球を受けたら、3塁ベースの2塁側にグローブを置いて、じっと走者の到着を待つという練習です。
これは指導者の明確な指示がないと出来ない練習ですが、上のステージに行けば必ず教わる内容ですから、知識としても必要です。

その他、3塁への牽制球については、スクイズの動きを探る練習と連動して行います。
ベンチが既にスクイズのサインを見破っている場合もありますが、この3塁牽制における3塁ランナーの挙動を見て、ベンチが緊急でスクイズ外し(ウエスト)を指示する場合もあります。
3塁ランナーが牽制球に引っかかった場合に発生する三本間の侠殺プレーの練習も含めて、1点を争う試合展開の中では非常に重要なプレーとなります。

まとめ

サードは最近、あまり人気がありません。
これは、昨今のプロ野球界がたまたまスタープレーヤー不在であるためで、わたし的には今でも見せ場たっぷりのポジションだと思っています。
3塁線の痛烈なライナーへの逆シングルキャッチ三遊間への当たりに対する横っ飛び一発ホットコーナーを守る番人として立ち向かっていくお子さんの勇姿に、皆で拍手しようではありませんか。