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Q.押し出し死球の打者が動けなかったら?
今年のセンパツ高校野球で、こんなことがありました。9回裏同点の場面。二死満塁から、四番打者がライト前にヒットです。やったぁ、サヨナラ勝ちだ!
三塁ランナーが、手をたたいてホームインし、歓喜の輪ができました。一塁ランナーも、その輪に加わります。対照的に守備側は、うなだれて試合終了の挨拶に整列します。
ところがこのとき、二塁塁審はしっかり確認していました。一塁走者は喜びのあまりか、二塁ペースを踏んでいなかったのです。踏まないまま、チームメイトと抱き合った。塁審はもし守備側からアピールがあればアウトとし、サヨナラ勝ちではなくゲーム続行を宣告する心づもりでいました。ところがアピールはなし。終了の挨拶をし、両チームともフィールドから出たところで、正式にサヨナラ勝ちが成立しました。
この連載の第1回で、マークル事件について話したことを覚えていますか? リトルリーグ競技規則4・09(a)の(2)(3)にはこうあります。「(2)走者がフォースアウトされて、第3アウトが取られた場合(3)前位の走者が、いずれかの塁の触塁に失敗してアウトとなり、第3アウトが取られた場合(アピールプレイ)」
には、走者が本塁に進んでも得点にはならない−。
1908年のこと。ニューヨーク・ジャイアンツのフレッド・マークル選手が、同じようなケースで二塁を踏まず、サヨナラ勝ちをフイにしたことがあるので、このルールはマークル事件≠ニして記憶されているのです。
さきのセンパツ高校野球の例では、一塁走者がベースを踏まなくても事なきを得ましたが、もし守備側の野手やペンチが注意深かったら、アピールによってサヨナラは免れていたところでした。これは二塁走者でも打者走者でも同様で、フォースプレーの状態ならば次の塁に達しなければいけません。みなさんも、攻守両面で気をつけてください。
同じように二死満畢空から、四死球で押し出しとなった場合はどうなのでしょう。4・09の(b)を見てみましょう。「正式試合の最終イニングの裏または延長イニングの裏で勝利点が記録される場合であって、しかも満塁における四球ないし死球、またはその他のプレイにより三塁上の走者が進塁せざるを得ない場合は、三塁から押し出される走者が本塁に触塁し、打者走者が一塁に触塁するまでは、審判員は試合終了を宣告してはならない」。つまり、押し出しの場合は打者走者、三塁走者だけに
進塁の義務があり、一、二塁走者は次の塁に達しなくてもいいのです。不思議といえば不思議ですが、合理的に進塁の義務を省いたのでしょうか。
A.代走の起用が可能です
では……同じケースで、押し出しのサヨナラ死球を受けた打者が、痛みやケガで動けなかったらどうなるのでしょう? 公認野球規則によると、打者走者が触塁しないと、進塁の意思なしと見なされてアウトにされることもあるのですが……大丈夫、そこはご安心。救済策があります。「走者が事故のため、進塁の権利がある塁まで進むことが出来なくなった場合は (場外ホームラン、あるいは一個またはそれ以上の進塁を認められたときなど)、そのプレイを完了させる為に代走者の起用が許される」 (4・09[C][1])。
かつてフロ野球でも、ホームランを打った打者に代走が起用された例があります。走っている途中で肉離れを起こしたりすれば、ありえない話じゃない。この場合、ホームランは打者に記録されますが、得点は代走につきます。おもしろいですね。
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