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藤堂庫治
三菱名古屋病院

vol.3  《ヒザ・その2》ケガのメカニズムを知ろう

【はじめに】

 前回は、リトルリーガーに多いケガについて説明しました。どのチームにもケガの多い選手と少ない選手がいます。体の中で負担が集中したところはケガをします。そのような体の使い方をしている選手に、ケガが多く見られるのです。ヒザのケガは、下半身の使い方を中心に考えればよいでしょう。ランニングや捕球動作について、監督やコーチから注意されていることはありませんか? もしあれば、それが原因でケガをする選手が少なくありません。痛みをガマンして練習を続けていると、痛みが強くなってきて、ひどいときには練習を休まなければなりません。良いフォームで野球ができるように、良い動作のチェックポイントを知り、どんな人がフォームを崩しやすいのかを理解しましよう。

【姿勢と動作のチェック方法】

●正面から(図1)

 足首とヒザは、折りたたみ式携帯電話(け いたいでんわ)のように一方向に動きます。ひ ねる動作や横に折り曲がる動きには弱く、ケガを招きます。つま先に対してヒザが内方を向く「Knee−in & toe−out」や、逆につま先に対してヒザが外方を向く「Knee−out & toe−in」はケガを引き起こしやすいのです。ヒザとつま先の方向が一致した「neutral」であるかをチェックしましよう。

 また、ももの付け根には股関節(こかんせつ)があります。これは、「ソケットにボールがはまりこんだ形状」をしているのであらゆる方向に対応できます。横への動きや方向を変えるときよく使われます。

●横から(図2)

 横からは骨盤(こつばん)と下腿(かたい=すね)の状態を確認します。足首が硬い選手は、かがみ込むときにすねが前へ倒れず、腰高な姿勢をとりやすくなります。ここで無理に腰を落とすと、猫背(ねこぜ)で腰が後に引けた姿勢をとるか、Knee−in & toe−outの姿勢になりやすく、ヒザをケガしやすくなります。ヒザやお尻の力が弱くても、この姿勢になります。ゴロの捕球動作で、すねと骨盤が十分に前に倒れますか?チェックしてもらいましょう。

【ケガの発生

●Knee−in & toe−outの場合(図3)

 Knee−in & toe−outでは、ヒザの内側が伸ばされ、外側がつぶされます。ヒザの内側が強く伸ばされると、内側側副靭帯(ないそくそくそくふくじんたい)をケガします。むずかしい名前なので、病院によっては「ヒザをねんざした」と説明されることもあります。ひどい ときには、ヒザの中にある前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)をケガすることもあります。一方ヒザの外側は、クッションの役割をもつ外側半月板が、つぶされることで傷つきます。Knee−in & toe−outは、ヒザがくの字に折れ曲がっていますね。ここで、ももの筋肉が働くと、いわゆるヒザのおさらが外に引っ張られ、徐々におさら周りが痛くなってきます(膝蓋[しっがい〕大腿[だいたい]関節障害)。また、ヒザの内側下方にある筋肉は、Knee−in & toe−outにならないように働きますから、いつもKnee−in & toe−outで動いていると、徐々に痛くなります。このけがを鵞足炎(がそくえん)と呼びます。

●Knee−out & toe−inの場合(図4)

 Knee−out & toe−inの動作では、ヒザの外側が伸ばされて、外側側副靭帯(がいそくそくふくじんたい)を傷つけます。内側は、強くつぶされることで内側半月板をケガします。

●neutralの場合(図5)

 ヒザとつま先の関係がneutralであっても、猫背(ねこぜ)で骨盤が後ろに傾いていると、お尻の筋肉がたるみ、ももの前の筋肉が緊張します。この筋肉は大腿直筋(だいたいちょっきん)と呼ばれ、おさらに付いた後、ヒザの下にあるすねの出っばりに着きます。この筋肉が硬くなったり、この筋肉を緊張させる姿勢をとり続けると、すねの出っばり部分が盛り上がってきて痛くなってきます。オスグッド病あるいはジャンパー膝と呼ばれるケガは、このようにして生じます(図5(1))。

●筋肉の働きが悪い場合(図6)

 ももの前には、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)と呼ばれる、体重を支える大切な筋肉があります。大腿四頭筋は4つの筋肉でできており、図6のようにいろいろな方向からおさらに付きます。ヒザを伸ばしきると、ももの内側で筋肉が盛り上がります。この筋肉は、おさらを内側に引き寄せており、この働きが弱いと、おさらが外側に引き寄せられてしまいます(図6(1))。おさらは、ヒザを屈伸させるときに上下に移動しますが、ここで外側に引かれる力が強く働くと、おさらとももの骨がこすれ合い、ヒザまわりが痛くなります(膝蓋大腿関節障害)。

 ヒザの内側の筋肉の盛り上がりは、大きくて、十分に硬いことが大切です。腕にある力こぶより軟らかい場合は力を入れる練習をしましょう。

【おわりに】

 今回、なぜフォームが悪いとケガしやすいのか、なぜフォームが悪くなるのかを説明しました。では、これらの「なぜ?」に対してどうしたらよいのでしょうか。次回は、悪いフォームの原因に対して、チェック方法と具体的な対応方法を中心に説明します。
 



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