vol.4 《ヒザ・その3》コンディショニング
前回、ヒザのケガが起きるメカニズムについて説明しましたので、今回は、ヒザのケガの応急処置と、グラウンドや家庭でできる柔軟体操、筋トレなど、からだづくりについてお話しましょう。
【グラウンドや家庭で行うケガの応急処置】
1.慢性外傷(まんせいがいしょう)に対して日々行う処置
慢性外傷は、何回もくりかえしからだに負担がかかり、徐々に痛くなってしまうケガで“オーバーユース”という言葉で知られています。ジャンパー膝、オスグッド氏病、膿脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)などがあり、小学校高学年以降、身長が急に伸び始める時期に症状が出やすくなります。慢性外傷は、「なぜそこが痛くなってしまったのか」という原因を解決しなければならないので、ただ運動を休むだけではなく、早めに専門の医療機関を受診しましよう。練習前のウォーミングアップ、練習後のクールダウン、痛いところを冷やすなどの処置をしましょう。
2.急性外傷(きゅうせいがいしょう)に対する応急処置(図1)
急性外傷とは、一度の大きな力によるケガのことで、骨折(こっせつ)や脱臼(だっきゅう)、捻挫(ねんざ)などがあります。グラウンドでこのような大きなケガが発生した場合、図1に示す順序で対応しましよう。応急処覆はRICE(ライス)処置を行います。RICE処置とはRest(じっとする)、Icing(冷やす)、Compression(押さえる)、Elevation(上に挙げる)の頭文字をとったものです。たとえばねんざをした後、そのままにしておくとどんどん腫れてくるので、ますリラックスできる姿勢になり(Rest)、氷などで冷やし(Icing)、しっかりと押さえ(Compression)、足全体を心臓より高く持ち上げて(Elevation)おきます。アイシングの際にはアイスパック、アイスクリッカー、冷却スプレーなどを使います。氷を使うときはビニール袋に入れ、タオルの上から皮ふに当てるようにしましよう。冷た過ぎると感じる場合はタオルを厚くして下さい。あらかじめ紙コップを使って氷を作っておくと便利ですが、直接皮ふに当てるときは軟膏(ぬり薬)の上から冷やすようにしましょう。冷やし過ぎである“凍傷(とうしょう)”を起こさないように注意。冷却スプレーも、長時間噴きつけると凍傷になる危険性があるため、使用には十分注意してください。
さらにケガをした直後は、松葉杖などを使って体重をかけないようにし、できるだけ早く医療機関を受診して、骨折やその他のケガのチェックも受けましよう。
【ケガを予防するためのコンディショニング】
1.かんたんにできるストレッチング
ストレッチングの目的は、からだの『柔軟性』を高めることです。とくに成長期は、運動によって筋肉が硬くなるだけでなく、骨が急に伸びていくためにますます筋肉の柔軟性が追いつかす、痛みが出やすくなってしまいます。ストレッチングも練習の一環と考えて、練習前だけでなく練習後もストレッチングの時間を作るようにしましょう。
一人で行うストレッチングはセルフストレッチング、二人で行う場合はパートナーストレッチングといいます。無理なストレッチングは筋肉や腱(けん)を傷つけて痛みが強くなる危険性があるので、どちらのストレッチングもゆっくりとていねいに、とくにパートナーストレッチングは相手の反応を注意しながら行うようにしましよう。ストレッチングはそれぞれ1分3セットを目安に行ってください。
(1)大腿四頭筋(だいたいしとうきん)のストレッチング(写真1)
大腿四頭筋は太ももの前にある大きな筋肉です。大腿四頭筋のなかでも大腿直筋という筋肉が硬くなってしまうと、ヒザの下のスネの骨が引っ張られて、オスグッド氏病になってしまいます。
(2)ハムストリングスのストレッチング(写真2)
ハムストリングスは太ももの後ろにある筋肉で、硬くなってしまうとスクワットのような動作で骨盤が後ろに傾きやすくなってしまいます。
(3)内転筋(ないてんきん)のストレッチング(写真3)
内転筋は太ももの内側にある筋肉で、硬くなってしまうと膝が内側に入る「Knee−in&toe−out」の姿勢になりやすくなってしまいます。
(4)殿筋(でんきん)のストレッチング(写真4)
殿筋はお尻の筋肉で、硬くなってしまうと股関節が上手に使えなくなったり、膿脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)になりやすくなってしまいます。
(2)下腿三頭筋(かたいさんとうきん)のストレッチング(写真5)
下腿三頭筋はふくらはぎの筋肉で、この筋肉が硬くなってしまうと足首の動きも硬くなりやすく、重心を低くしたり、前に移動しづらくなります。
2.かんたんにできるトレーニング
《1》大腿四頭筋のトレーニング
(1)セッティング(写真6)
脚を伸ばした状態で、タオルを巻いてヒザの下に置きます。そしてヒザの裏を下に押さえつけながら、かかとを持ち上げてももの前の筋肉に力を入れて下さい。
(2)SLR(写真7)
セッティングと同じように、まずヒザ裏を下に押さえつけます。ももの前の筋肉に力を入れたまま足を持ち上げて5秒間止めて下さい。
《2》ハムストリングスのトレーニング
レッグカール(写真8)
うつぶせになって、チューブを足首に巻きます。つま先をまっすぐにむけてヒザを曲げましよう。
《3》スクワット(写真9)
スクワットは、かまえる姿勢にもつながる大切な動作です。両足を自分の肩の幅と同じくらい開き、つまさきをまっすぐに向けます。足の指を軽く開き、ヒザを曲げ、重心を足の前のほうにゆっくり落としていきます。下で2秒止めた後、ゆっくりと戻ります。もともとの姿勢が悪い場合、猫背や腰がそった姿勢にも注意してください。
ここで紹介した運動は、ケガをしないようにするための方法です。みなさんのような成長期にヒザの痛みは起こりやすく、痛みをガマンして練習を続けていると、治るまでに時間がかかってしまうこともあります。少しの痛みでもガマンせず、早めに治すようにしましょう。痛みがなくても、自分のからだのケアは日ごろから心がけて下さい。
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