vol.5《足関節・足部その1》知っておきたい足のしくみと起こしやすいケガ・故障
前回、ヒザのケガが起きるメカニズムについて説明しましたので、今回は、ヒザのケガの応急処置と、グラウンドや家庭でできる柔軟体操、筋トレなど、からだづくりについてお話しましょう。
【知っておきたい足関節・足部のしくみ】
1.慢性外傷(まんせいがいしょう)に対して日々行う処置
一般に足首と呼ばれる部位が、足関節です。足首は外から見ると両側に骨が隆起しています。これはすねの2本の骨(けい骨、ひ骨)の末端部分が盛り上がったもので、このくぼみの中に距骨がはまり込んでできています。距骨は踵骨と関節を作り、さらにそれぞれが舟状骨、立方骨、楔状骨、中足骨、址骨という小さな骨と関節を作ります(図1)。そしてそれぞれの関節を固定するのが、靭帯という強いスジです。
自分の足首や足を動かしてみると、まず足首は上下に動きます。上に動かすのを背屈、下が底屈といいます(図2)。下には大きく動きますが、上にはあまり動きませんね。距骨の前のほうは後ろよりも幅が広く、上に動かしたときに広い部分がくぼみにはまり込み、動きにくくなるからです。足首は左右にも動きますが、上下に比べればわずかです。足の裏を内側や外側に向けるような動きで、内くるぶしより、外くるぶしの骨のほうが長いため、内側のほうに大きく動きます。それぞれ内がえし、外がえしと呼びます(図3)。
足首や足の動きは、すねから足に付着する筋肉・腱の働きによってコントロールされます。足首の底屈、足の内がえしはアキレス腱、後脛骨筋、足指を曲げる筋肉、背屈は前脛骨筋、足指を伸ばす筋肉、足の外がえしはひ骨筋の作用です。
立った状態で足を上から観察すると、平坦ではなく縦横両方向に盛り上がり、アーチ構造が見られますね。縦方向はいわゆる土踏まずが目立つ縦アーチ。横のアーチは足の甲の部分に見られます(図4)。これらのアーチは足の骨と靭帯、筋肉の働きで作られ、体重を支えたり、ランニングやジャンプの着地、踏み切りで伸びたり縮んだりして運動がスムーズに行われるように働きます。
このアーチ構造の強弱により、扁平足とかハイアーチという形状につながります(図5)。一般的に扁平足では、足が平坦で土踏まずもなく、後ろから見ると踵の骨が内側に傾く傾向が見られます。ただ、足底の筋肉が発達した見かけの扁平足もあるので、厳密にはレントゲン検査が必要です。歩いたり走ったりするときは、足の外側から着地し、指の内側から蹴りだして体重が移動していきます。足には、外側から内側にあおるような動きが見られるのです。扁平足ではこのあおり運動が大きく、足の内側に負担がかかります。逆にハイアーチではあおりが少なく、外側にストレスが集中しやすくなります。
【リトルリーガーに起こるケガ】
1.足首の捻挫
べースランニング、スライディング、守備のフットワークなどで、足首をひねったときに起こるケガです。足首の構造上、足を内がえしの位置でひねることがほとんどで、ひねり方によっては、足首の骨折が起こることもあります。内がえしによる、足首外側の靭帯の伸び。軽度だと少し伸びるだけですが、ひどいと靭帯がほとんど切れてしまうこともあります。症状としては内出血のために足首、とくに外くるぶしの下がはれます。はれと痛みのために歩くのが困難になり、ひどい場合は足首が不安定な感じもします。この場合は、患部を氷で冷やして包帯で圧迫し、はれをできるだけ少なくします。
軽いねんざでも、必ず整形外科に行って診察を受けるようにしてください。靭帯の傷はレントゲンに写らないので、レントゲン検査で異常がなくても安心はできません。少し痛いのを我慢して、捻挫の程度を調べてもらうこと。ひどい場合には、ギプスで固定するか手術が必要になります。とくにはじめての捻挫では、正しい診断と治療を受けることが重要です。予後は、はれや痛みがひき、歩いたり階段の下りが支障なくできればジョギングを開始していいでしょう。べースランニングや守備練習では、傷ついた靭帯の保護のためにテーピングやサポーターをします。
2.踵骨骨端症
小学校高学年では、踵の骨の後ろに成長に伴う骨端核が出現します。この骨端核にはアキレス腱が付着し、軟骨で踵の骨に付着しているため、ランニングやジャンプを無理に行うと体重とアキレス腱の収縮力が繰り返し加わり、骨端線と呼ばれる軟骨の部分に傷がつきます。また小学校高学年では、身長が伸びる速度が急に早まるので、アキレス腱が相対的に短縮した状態になりやすく、骨端線にストレスが集中します。トレーニングシューズやスパイクの靴底のクッションが悪いと、さらに衝撃がかかりますので、配慮してください。
この症状は、踵の後ろ、アキレス腱の付着する下のほうが痛く、指で押すと痛みを感じます。足首が硬くなっていることが多く、両足をそろえ、踵を上げずにしゃがみこむことが困難な場合が多く見られますので、チェック方法のひとつになります。治療のポイントは、シューズの柔軟性チェックとアキレス腱のストレッチング。薄く硬い靴底はやめましょう。ランニングやジャンプのやりすぎにも注意。
3.有痛性外脛骨
外脛骨は、舟状骨の内側に出現する小さな骨です。10歳ぐらいから10〜15%ぐらいの割合で存在します。この骨にはランニングで使う、足を内側に向ける後脛骨筋という筋肉がくっついています。ここに外力や筋肉の引っ張る力が加わると、接続する軟骨の部分に傷がつき痛みを起こします。外腰骨の部分をぶつけたり、靴が当たったり、ランニングのやりすぎ、足首の捻挫をしたときでも痛みが起こります。
足首の内くるぶしの下前方に骨が盛り上がり、はれや痛みがあれば、このケガを疑ってください。医療機関でレントゲン検査を受け、外脛骨の存在と形を調べます。治療のポイントは、患部をドーナツパッドで保護すること。また後腰骨筋の作用を軽くするためにランニングを控え、ストレッチングを十分行います。扁平足の場合には、足底挿板が有効です。
4.扁平足障害
扁平足は、足を支えるアーチ構造が見られない足です。外見上土踏まずがなく、疲れやすい。肥満気味で足を支える筋肉が弱いと、土踏まずや足の甲に疲労性の痛みが出ます。
足のアーチを支える筋肉の筋力強化と、足底挿板が治療のポイントです。
以上、簡単にふれましたが、ことに捻挫は、繰り返さないような注意が必要です。初めて足首を捻挫したときに、適切な治療が行われないと、靭帯が伸びたまま放置されるので、関節のゆるみが残り、簡単に捻挫を繰り返すようになります。クセになるわけで、そのたびに関節がゆるくなり、骨と骨がぶつかるために軟骨に傷がつきます。軟骨の傷は治りにくいので、痛みが増し、関節の老化が進むのです。テーピングやサポーターにより、何とかプレーはできますが、捻挫を繰り返すと痛みが強くなり、将来野球が続けられなくなることもあります。重ねて強調しますが、とくに初めて捻挫したときは、必ずスポーツドクターがいる医療機関(整形外科)を受診して、正確な診断と治療を受けるように心がけてください。
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