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vol.10 肩とヒジは、弓のようにしなやかに

その2★ケガ・故障のメカニズムを知ろう
講師…宮下浩二 広島大学大学院保健学研究科

【はじめに】

 その1で、野球選手の肩やヒジの痛みについて勉強してきました。野球をしていてボールを投げるとき、肩やヒジに痛みがあるのは、とてもつらいことですね。でも、多くの野球選手が肩やヒジを痛めたことがあると思いますし、いまも痛みのために野球を中止している人も少なくないと思います。

 肩やヒジに痛みがない選手のみなさんは、できることならこれからも全く痛みなくボールを投げたいですよね。また、いま、肩やヒジが痛くてボールを投げられない選手も、これからは痛みなく投げられるように願っていることと思います。では、そのためにはどうしたらいいでしょう? まず、ボールを投げるときになぜ痛みが出てしまうのか、ということを知ることが大切です。それから対策を実行してみることです。

【ボールを投げたときに痛みが出る理由】

 ケガをしやすい理由のひとつに、「個体要因」として選手個々のからだつきや体力の特徴が原因となることがあります。筋力が弱かったり、からだが硬い場合にも、痛みは出やすくなります。また、姿勢が悪いとボールを投げたときに痛みを出しやすくなります。リトルリーグのみなさんにとって、一番大きな問題としてはボールの投げ方、「投球フォーム」があげられます。よくない投球フォームは色々ありますが、よく見られるフォームをいくつか示します。

 まずは、ボールを投げるときのヒジの位置が低い、いわゆる「肘さがり」といわれるフォームです(図1)。次に図2のように、ボールを前にもっていくときに、ヒジをつき出すようにして投げるフォームです。それから、図3のように、からだが早く開いてしまい、ボールをもった手が後ろのほうに残ってしまうようなフォーム、などです。いずれも一番問題になることは、からだ全体を使って投げるのではなく、肩やヒジだけの力に頼って投げることであり、このために、痛みが出やすくなります。




【フォームをよくするための工夫】

<1>姿勢への注意

 投球フォームは、ふだんから立ったり、すわったりしているときの姿勢に、大きく影響されます。ふだんの姿勢が悪い選手は、投球フォームも悪くなりやすく、結果として肩や肘を痛めやすいようです。たとえば図5の右、「猫背(ねこぜ)」のように背中が丸くなっていたり、おなかの力がぬけたように腰がまっすぐでなかったりしていると、とくに投球フォームが悪くなります。

「肩やヒジの痛みのことなのに、なぜ背中や腰が関係あるの?」

 って思うかもしれません。でも、次にお話しするように、ボールを投げるという動作は全身を使って行うわけです。背中や腰、さらにいえばヒジを痛めた選手の多くは、足の指をうまく聞くことができません。姿勢と痛みは、どこかで連動しているんです。背中や腰や足など、日ごろからまっすぐ良い姿勢を心がけるのは、ボールを投げたときの肩やヒジの痛みを予防するにはとても重要なことです。

<2>投球フォームの工夫

 投球は、図4のように足や腰や肩、ヒジを連続してうまく使うことで、いいフォームになります。図1〜3で示したようなフォームを直すためには、どうしたらいいでしょう? たとえば図4の(4)のときに、ヒジの位置が低いからといって、その瞬間だけヒジを上げることは、意外にむずかしいものです。多くの場合、無理にヒジを上げようとすると、からだを無理にひねったり、早く開いたりして、かえって違う問題をひきおこすことがあります。

 選手のみなさんの多くは、図4の(3)〜(4)の間に痛みを感じるようです。この(3)〜(4)のフォームを変えるためには、実はその前の段階のフォームを変えてあげることが重要です。その前のフォームは、さらに前の段階の影響を受けます。そうなると、結局(1)のようにまっすぐ片足で立ったときのフォームが一番重要となります。肩やヒジを痛めた選手の投球フォームを見ていると、このように片足で立ったときの姿勢が悪い人がとても多いことに気づきます。図5のように背中が丸かったり、骨盤が傾いていたり、足の指をしっかり開けずグラグラした立ち方しかできないと、結局その後のフォームが乱れて、痛みにつながりやすくなります。まずは、この(1)のときのフォームをしっかり気をつけることから始めましょう。

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