>>バックナンバー


vol.11 「腰」と「ヒジ・肩」のまとめ

講師 小林寛和 財団法人スポーツ医・科学研究所

 リトルリーガーのみなさんこんにちは。この連載の初回にも登場した理学療法士の小林です。

 連載初回にも書きましたが、かつては「スポーツにケガや故障はつきもの」「野球をやっていたら少しぐらいのケガや故障はあたりまえ」「ケガや故障をくりかえしてつよい体ができる」……など、といわれていました。少し前の時代には、スポーツ選手のケガや故障についてわからないことが多く、予防の方法もあまりわかっておらず、そのような考え方もしようがなかったのかもしれません。ただし現在では、スポーツ選手のケガや故障についてかなり多くのことがわかるようになり、予防の研究も進んできています。

 皆さんはこの連載で、たくさんの「体のこと」「ケガや故障のこと」を勉強されたことと思います。なかには「自分が調子悪かったのはこんな原因があったのだ!」という人もいたでしょう。また「○○をしっかりやっている。やったら調子がよくなった!」という人がいるかもしれません。皆さんの体は、野球選手として現在や将来活躍できるようにするだけではなく、大人になっても元気にスポーツができるように、またしっかり働けるように大切にしていかなければなりません。

【腰、肩・ヒジのおさらい】

 連載9では「腰のケガや故障」について勉強してもらいました。「腰はからだのカナメ」です。腰をいためてしまったら、上半身を使った練習も、下半身を使った練習もできなくなってしまいます。連載9−(1)で吉田先生が説明されているように、成長期の腰のケガや故障には多くの種類があります。痛みや不調があったら、整形外科の先生に診てもらうことをおぼえておいて下さい。

 連載9−(2)では鵜飼先生が、腰のケガや故障を防ぐ(予防)ために、ふだんから気をつけることを説明されています。体のどこの部位でも同じですが、ケガや故障の予防には、ます「どうして起きてしまうのか?」を知らなくてはいけません。

 「ケガや故障の発生メカニズム」に書いてあるように、腰への負担は、背中や骨盤のうごきによって増えてしまいます。また普段の姿勢に気をつけることが大切です。連載9−(2)で説明したように、「姿勢」と「筋肉のかたさ」に注意をしてください(図1、2)。また練習の時は、図3にあるような「フォームの問題」を頭に入れておきましよう。また日頃から、連載9−(3)で岡西先生が説明されている各種のエクササイズを行うようにしておきましよう。

図1
図2
図3

 連載10では「ヒジと肩のケガや故障」について勉強してもらいました。野球選手にとって、ヒジや肩にケガや故障を負ってしまうことはたいへんなことです。ヒジや肩の調子が悪くなってしまったら、ボールを投げることができなくなってしまいます。

 野球選手のヒジや肩の不調は「野球ヒジ」「野球肩」といわれています。しかしヒジや肩のケガや故障は、連載10−(1)で杉本先生が説明されているように、骨、靭帯、筋肉などさまざまです。つまり「野球ヒジ・肩」と一言でいっても、症状によって治療方法が全く違います。「野球肩になった友達がこんな治療をしたから、ボクも同じようにしよう!」という判断は間違いです。気をつけましよう。

 連載10−(2)では宮下先生が、ヒジや肩のケガや故障に結びつきやすい「投球フォームの問題」をあげて、その問題に関係する原因を説明されています。連載10−(3)で岡戸先生が説明されている「コンディショニングの方法」とあわせて、日頃の注意点、予防策として活用してください。

【4部位のチェックとコンディショニング】

 「野球の練習を休むのはイヤだから、ふだんからケガや故障の予防を心がけよう!」「連載を読んで勉強したことを、毎日しっかりやりたい!」と思いながらも、少し困ったことはありませんか? いままで多くの先生方が説明されたヒザ、足関節・足部、腰、ヒジ・肩について「しっかりとチェックとコンディショニングをやりたいけど、時間がかかってしまってやりきれない!」と思っているリトルリーガーの皆さんも多いのではないでしょうか?

 この連載は、皆さんがケガや故障をせずに、元気に野球にとりくんでもらうためのものです。専門家からすると、皆さんの日常生活(学校の勉強、野球の練習、友達との遊び……)に加えて取り入れてもらいたいものばかりを紹介してきました。ヒザ、足関節・足部、腰、ヒジ・肩の4カ所について、こんな取り入れ方をしてください。

【チェック】

1.日をわけて、1回に1部位のチェックとし、4部位を2週間に1回はかならずチェックする─1週間に2回(2部位)であればそんなにたいへんではありません。できるだけチェックをする曜日と部位を決めて実施しましょう。

2.4部位のチェックになれてきたら、毎回問題になるものは週1回チェックするようにしておく─たとえば、「ボクはチェックでいつも腰のまわりがかたい」という傾向がわかったら、腰だけは最低でも週1回チェックをするようにします。

3.練習内容が偏っていた日は、疲れている部位のチェックを行う─たとえば、「いつもの倍ぐらい走って脚が疲れている」場合にはヒザ、足関節・足部の、「投げる量が多かった」時にはヒジ・肩のチェックを行うと良いでしょう。

4.試合のあとは4部位のチェックを行う─試合後のクールダウンで、友達と試合の良かったところ、悪かったところを話し合いながら、チェックしあうと良い時間になると思います。多くの選手達から「いつも同じ相手にチェックしてもらうと、変化がわかりやすい」という話をききます。試してみてください。

【コンディショニング】

1.ウォーミングアップ、クールダウンに組み込む─4部位のコンディショニングを、普段行っている練習前のウォーミングアップ、練習後のクールダウンとして行うことはたいへん有効です。とかく練習後のクールダウンはおろそかになりがちですが、練習による疲労を残さないために、クールダウンこそしっかりやりましょう。チェックと同じように、練習内容にあわせて行うようにすると良いでしょう。指導者の方々も、ぜひ試されてください。

2.チェックでの問題部位は、とくに入念に行う─チェックと同様に、しばらく続けていると、「ボクは○○をやっておくと調子いい!」という種目がでてくることと思います。

 以上の方法を参考に、実施してください。チェックも、コンディショニングも、最初は手間がかかりそうですが、やり方になれてしまったら、そんなにたいへんなものではありません。「チェックもコンディショニングも練習の一部分」となってくれることを願います。からだの変化を知るために、毎回の実施記録を残しておくことも大切です。「コンディショニングチェックノート」をつくっておき、チェックの結果とコンディショニングの実施内容を記録しておきましよう。

 さて最後に、皆さん、学校の勉強でこんな経験はありませんか?「教科書を1回読んで大事なことはなんとなくわかった」「2回目にはもっとたくさんわかった!」。

 この連載も、もう一度読み直してみてください。きっと新しい発見があるはずです。

 ケガや故障をしないで、元気に大好きな野球にとりくんで下さい!



[TOP]
Copyright (C) JAPAN LITTLE LEAGUE. All Rights Reserved.