牽制球への対応

目次

牽制球は、読んで字の如く牽制する球です。
ランナーが大きなリードを取って次の塁を狙うプレーに対して、守備側が“牽制”するのです。
そしてこの牽制球には、ピッチャーが投げる場合と、捕球後のキャッチャーが投げる場合があります。
“ランナーに大きなリードを取らせない”ということが、“抑止力”として牽制球が持つ最大の効果ですが、状況と技術のバランスによってはランナーを刺殺することも可能となります。
最も多く牽制球が投げられるのは、最も出塁する確率が高い1塁で、各チームは当然この練習に最も多くの時間を費やします。
また、先に述べたように牽制球は“抑止力”なので、当然何度も何度も投げた方がその効果が高まります。
2回続けて牽制球を投じると、“さすがに3回は投げてこないだろう”と高をくくるのが人間心理というもので、これは小学生ランナーでも同じです。
また、実際に4・5投目で牽制アウトを取るピッチャー(チーム)も見かけますが、“速やかな試合進行”という見地からは、あまり褒められた戦略とはいえません。

牽制球によるボーク

バッテリーが牽制球で抑止力を行使するなら、ランナーも大きなリードでこれに対抗します。
これが勝負というものです。
ここでは、ルールすれすれのプレーが繰り広げられるので、ルール違反(ボーク)も時々起こります。
小学生の試合で多いボークは、以下のものです。

  • セットポジションに入った後、腕、肩が投球動作若しくは牽制する前に動いてしまった
  • セットポジションに入ろうとして、途中でやめてしまった
  • プレートをはずさない状態でセットポジションを崩した
  • セットポジションを完了する前に投球動作に移った(一度止めないとボーク)
  • セットポジションに入ってからボールを落とした
  • 左投手の場合、セットポジションの後、上げた右足がクロスした(膝が2塁方向に少しでも入った)場合は打者に対して投球しなければならないが、1塁牽制を投げた
  • 左投手の1塁牽制の場合、上げた右足が1塁方向に踏み出さなければならないが、そうなっていなかった
  • 1・3塁の場合に、プレートを外さないで偽投してしまった

このように、小学生の野球でもかなりの頻度でボークが起きます。
これらを犯さないように、チーム内でミーティングを含めた牽制球の練習を繰り返します。

牽制球による刺殺

1塁でアウトに出来る牽制球には、いくつかのパターンがあります。

  • ピッチャーがサインを見ている時に殺す(ランナーがリードを取ろうとしたタイミングで牽制して、逆を突いてアウトにするケース)
  • ピッチャーがセットポジションに入るような素振りを見せている時に、いきなり牽制して殺す(セットポジションに入るからとランナーが気を緩めた瞬間に牽制して、帰塁が遅れることでアウトにするケース)
  • 遅い牽制球→遅い牽制球→速い牽制球という3球セットの3球目でズバッと投げて殺す
  • 左ピッチャーの場合、右足を上げてから牽制を投げる間隔を速い→速い→遅いとして、1塁ランナーが盗塁を企てた場合に牽制球で殺す
  • 無死満塁、1死満塁の場合に内野は前進守備の体制を敷くことが多いが、この時1塁ランナーや2塁ランナーはフリーになるため大きなリードを取ることが多い。
    このランナーの心の隙を狙って、死角にいるライトが1塁に入ったり、センターが2塁に入った入りしてタッチプレーで殺す
  • ※この場合、1塁や2塁でアウトに出来たことに対していつまでも喜んでいると、3塁ランナーのホームインを許してしまうので要注意

体験談

これは、わたしのチームの中学部であった本当の話です。
1点リードで最終回。
相手チーム最後の攻撃を迎えたものの、連打で一死2・3塁。
敵のクリーンアップを打席に迎え絶体絶命のピンチでした。
ここでピッチャーは、2塁に牽制を試みるも暴投。
セカンド、センターが外野に転がるボールを追いかけている間に同点、さらに逆転サヨナラ…と思いきや、外野を転々としているはずのボールはピッチャーが持っており、キャッチャーに素早い送球。
本塁に突入した3塁ランナーは、ホームベース手前でタッチアウト。
何が起きたのかよくわからない2塁ランナーも3塁を回ったところですべって転倒。
キャッチャーからサードに送球されて、一瞬のうちにダブルプレー。
見事に勝利を収めました。
地域でもレベルが高いと評判であるうちの中学部は、この練習を何度も何度もやっていました。
このプレーの中ではかなりの“演技力”も求められ、“本当に牽制球が暴投になった”という空気を全員でかもし出すことが何より必要だったからです。
小学生にここまでは求めませんが、牽制球には試合の流れを変えてしまう力があることをここでは押さえておいてください。
ちなみにこの試合後に、中学部の監督は大会本部に呼ばれて、審判団から“中学生らしくない”と怒られていましたが、高校野球でもプロ野球でも見られるプレーを中学生がやって何が悪いのでしょう。
引っかかる方が悪いのです。
こういったトリックプレーで勝敗が決すると、勝った方も負けた方もしばらく後を引きます。