少年野球の主審に求められることと主な役割

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記事の目次

主審は球審とも呼ばれ、「プレイボール」「ゲーム(セット)」の宣言から、「ストライク」「ボール」の判定、内野での「ファウル」、フライの捕球判定に至るまで、審判の中で最も多くのジャッジを行います。

その他にも、出場選手の管理(選手交代管理)や試合進行判断(降雨での中断、コールドゲームの判断)などを行うので、“試合に関するあらゆる権限が集中する審判”という事が出来ます。
よって、その主審の力量は試合の流れ(勝敗)に対して、大きく影響を及ぼします。

主審に求められること

プロ野球の主審についてここで語ってもあまり意味がないので、「お父さんコーチ」が少年野球の主審を勤める上での心得をお話します。(コーチでないお父さんは指導者登録されていないので、基本的に公式戦の審判は出来ません。)

  • まず子供の怪我に細心の注意を払いましょう。子供が怪我をするリスクがある試合中のプレーや行為に対しては、厳然たる態度で臨みましょう。
  • 公平にジャッジすることを心がけましょう。(自チームの練習試合で主審を任される場合があります。また、公式戦で自チームの試合を審判することはできませんが、その試合の結果によって自チームの状況が変わる場合があります。常に公平を心がけてください。)
  • ルールブックを読み込みましょう。(毎年更新される「公認野球規則」の最新版と、「指導者必携」という小冊子に精通しましょう。)
  • 試合時間の短縮(スピードアップ)に努めましょう。(選手の攻守交替を迅速にさせるのは、主審の力量です。)
  • 他の審判(塁審)との連携を大事にしましょう。(スイングの確認やインフィールドフライの事前状況確認など、“審判団”としての動きも非常に重要です。)

主審の試合における主な任務

  • 試合運営について、すべての権限と責任を持ちます。
  • 試合前に両チームのキャプテンを呼んで、先攻後攻のじゃんけんをさせます。(大会によっては予め決まっている場合もある)
  • 試合前に両チームの監督を呼んで、グランドルールの確認をします。(そのグランド特有のローカルルールについては、特に入念に確認します。)
  • 試合開始「プレーボール」及び、試合終了「ゲーム(セット)」のコールを行います。
  • 試合前の打順の受け取り、及び試合中のメンバーチェンジの受付・相手チームへの発表を行います。守備交代で複数のプレイヤーが同時に交代した場合は打順の確認も行い、同様に相手チームに発表します。(大きな大会などで本部席がある場合は、そちらへの連絡も必要です)
  • ”ボール”、”ストライク”のジャッジとカウントのコールを行います。
  • 通常、塁審が行うことになっているもの以外全てのジャッジを行います。
  • 監督からの抗議を受け付ける。(塁審が受けることもあります。)

基本的に、ジャッジに抗議が出来るのは監督のみです。しかし、審判員の裁定は“最終”なので、いくら監督から猛烈に抗議されても簡単にジャッジを変えてはいけません。(規則に対する確認の抗議で、その結果、審判が規則を誤って解釈していた場合は別です。それが本当に間違いなのかどうかを審判団協議の上、訂正してジャッジしなおすことはあります。打順間違いの場合なども、これにあたります。)

主審として注意すること

それでは、特に“主審”として注意すべきポイントには、どんなものがあるのでしょうか?

  • インプレー中におけるボールの行方から目を離さない。(これは審判員全員にあてはまる話ですが、グランドの中心ですべての権限と責任を持つ主審にとって特に重要です。)
  • 一旦コールしたら、何があっても迷わない。(仮に「アウト」とコールしたら、その後は「セーフだったかな?」などと、くよくよ迷わない。)
  • 選手の邪魔にならない、常に良いポジショニングをとることを心がける。(審判は「石ころ」と同じなので、ボールが当たってもランナーが当たってもプレーは継続します。よって、なるべく試合に影響しないように動くのが基本です。但し、ジャッジを正確に行う為にタッグプレイはより近くで、フォースプレイはなるべく離れて見るようにしましょう。)
  • ジャッジを早まってはいけない。(プレイが完了してから、一呼吸置くくらいで判定すれば充分です。)
  • ホームベース上におけるクロスプレーのジャッジは、出来る限りゼスチャー・コールを大きくする。(“あの主審はオーバーアクションだな”と言われるくらいの方が、結果的に“良い主審”と言われる率が高いです。これは、自分のジャッジについての、周囲に対する強い意思表示という意味合いだけでなく、“外野手など、遠い位置の選手からも良く解る”という観点からも重要です。)
  • 仮に一つのジャッジに失敗しても、次のジャッジは正確にする。(「さっき間違ってボールって言っちゃったから、次はストライクにして帳尻合わせよう」とかは絶対にだめです。)

まとめ

プロ野球でも「誤審」はあります。よって、少年野球で起きても仕方ない部分はあります。
ただ、私は自分のチームの子供たちに、いつもこう言います。
「審判がセーフって言ったらセーフなの!」
休みの日の貴重な時間を割いてまで、ボランティアでやってくれている審判が、意図的に間違った判定をするはずありません。みんな子供が大好きで、野球が大好きな人たちばかりなのです。自分が主審を経験すると、さらにその思いは強くなります。

野球というスポーツを通じて「人間だから間違うこともある」という赤裸々な事実を子供たちに教えるのも、大事な教育なのです。こうして子供たちは色々学んで大人になるのです。
そんな子供たちの前で、ベンチや応援席の大人が、恥ずかしい行動や言動で振舞うのだけはやめたほうがいいです。
「えぇ~」とか「セーフでしょう?」とか「どこ見てんの?」とか。
見苦しいです。「審判は絶対」なのですから。

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