少年野球では保護者の車出しが必須

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記事の目次

各家庭で所有している自家用車を、少年野球チームの練習や遠征に供出することを指して、“車出し”といいます。
少年野球の活動においては、上部大会への出場や遠距離のチームと練習試合を行うことが頻繁にあり、その都度“遠征”をすることになります。
この時、大抵の少年野球チームは専用バスなど持っていませんので、適宜、移動手段を考えることになります。
しかしほとんどの場合、その結論は“電車での移動”とはならずに、“親御さん達の車出しで移動”ということになります。
そこには、どんな理由があるのでしょうか。

車移動になる理由

一度でも経験された方ならお解りかと思いますが、“大勢の小学生を引率して電車で移動する”というのは、想像以上に大変な作業です。
まず、電車の中での子供達は、頭が痛くなるほど“喧しい”です。
野球の練習中はある程度指導者の統制下に甘んじている子供達ですが、電車に乗るとたちまち豹変し、その空間は“無法地帯”と化します。

日ごろ、練習中に「腹から声を出せ!」と号令かけている立場として、「静かにしろ!」というのは心情的に憚られるのですが、公のルールとして“電車の中では静かにする”というのが日本人のモラルなので仕方ありません。
われわれ指導者は、年に数回の電車移動をする度に、声を出させることより静かにさせることの方が数段難しいことを思い知らされることになります。

さらに、子供達は電車の中で“じっとして”いません。
大抵の男子小学生は、通信簿の生活指導欄に「落ち着きがない」と書かれるものです。特に野球をやる少年達は、ほぼ100%このタイプでしょう。
そもそも、この年頃で「落ち着いている」野球少年は、逆に心配なくらいです。

喧しい子供が、じっとせずに20人レベルで電車の中をあちこち動き回るのですから、周りの乗客もたまったものではありません。
礼節に厳しいお年寄りなどから、きつくお叱りを受けることもしばしばです(多くの場合、引率している大人が怒られます)。
従って、よほどの事情(車が揃わない…など)がない限り、少年野球の遠征は車での移動となるのです。

チーム遠征用としての自家用車事情

地方では「一家に一台(一人一台?)」が当たり前かもしれませんが、都心においては維持費の高騰から自家用車の所有率は下がる一方です。
ひと月\50,000などという高額物件もあり、都心の駐車場代相場が地方の家賃並みであることを考えれば、それも仕方ないところです。
仮に車を持っていたとしても、それが2シータ(2座席)のスポーツタイプであったり、子供を乗せられないスーパーカーであったりすると、これまた少年野球の移動用としては不適格です。
また「ウチの車は新車だから子供はダメ」「野球の子供を乗せると車内に土が落ちるからダメ」「一度、車酔いの子にリバースされたからもうこりごり」など、“ふるい”にかけていくと、チーム遠征用として使える車の台数がどんどん減ってしまうのです。

配車担当

そんな厳しい状況の中、様々な事情を乗り越えてチームのために車を出してもらう「家庭」と「台数」が決まったら、いよいよ「配車担当」の出番です。
各家庭から、その車に小学生が何人乗れるかをヒアリングして、一覧表を作成します。
そして、一台一台乗せる子供をペアリングしていくのですが、上部大会などの場合は、その子供の組み合わせにも配慮します。
「ピッチャーとキャッチャーは同じ車」「監督車にはキャプテンを乗せる」「景気づけに同じ学年の子を同じ車に乗せる」など、すでに移動の車内から試合は開始しているのです。
ここには監督からの指示が入り込む場合もありますが、いずれにしても、“配車担当”というのは、特別なセンスが問われる仕事です。
たかが配車。されど配車なのです。

運転担当

遠征当日車出しをした家庭は、基本、往復運転も担当することになるので、運転手としてアサインされた保護者は一日仕事になります。
遠距離の場合は、ドライバーとなる保護者が集まって、通るルートを事前に確認をします。
ナビが付いていない車や運転が心配な車もあるので、隊列も重要になってきます。
しかし、このようにさんざん配慮しても、他の車からはぐれるお母さん車が出るのだから不思議なものです。

駐車料金

遠征の場合、駐車料金についてはチームから出ることが多いですが、ガソリン代などは車種によって燃費が違うので、基本持ち出し(持ち主負担)です。
つまり車出しをする家庭は、しない家庭に比べて明らかに“拠出金が多い”ということになります。

しかし、悪いことばかりではありません。
指導者側からすると、『xx君のうちには、いつも車出ししていただいて申し訳ない』という気持ちを必ず持っているので、試合などで“便宜が図られる”可能性がある、ということも付け加えておきます。
これは決して“xx君を贔屓する”ということではなく、“今日の試合にxx君とyy君(車出しをしていない家庭の子)のどっちをスタメンで使おうか?”と悩んでいる場合に限り、xx君が当選する確率が高いということをさしています。
監督だって“人の子”なのです。

まとめ

電車の移動は大変ですが、車の移動もまたそれなりに大変です。
車酔いをする子はかならず毎年何人かいますし、トイレが近い子の対応も高速道路を使う場合には苦労します。
また、安全運転を心がけていても、何年かに一度は事故も起きます。物損ならまだしも人身事故でも起こそうものなら、チーム運営にも影響が出ます。
幸いなことに、私のチームでまだ大事故は起きていません。
“粋な”野球の神様は、ここにもいました。
“ひたむきなチーム”に対して、決して神様は悪いようにはしないようです。

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