食事は成長に必要な栄養を意識することが重要

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記事の目次

私の3人の息子達は、私のチームの中学部を卒団後、それぞれ野球強豪校へ進学しました。
そして、それぞれの高校野球部で最初に出席した保護者会において、判で押したように同じことを言われました。
「しっかり食べない子は伸びません。」
監督さんのこの言葉は、“身長・体重のアップがトータルとしての野球技術にとって大きな影響を与える”ということを意味していました。
そして、その後それぞれの野球部から3リットル超の弁当箱が支給されました。
中には「1年間で体重が5キロ増えなかった子は退部してもらいます。」と言われた高校もありました。
そのくらい、この時期の食事による身体作りは重要なミッションなのです。

この話はある意味、小学生にもあてはまります。
食が細くても上手い選手はいます。しかし、伸びないのです。どうしてもある一定のレベルまでいくと、上達が止まってしまうのです。
過去に私が育ててきた選手を振り返ってみても、しっかり食べていた選手は、以降のステージでどんどんスケールの大きな選手に成長していきました。

大人と違って子供の食事は成長するためのエネルギーが必要

子供の食事を考える上でまず押さえておくべきポイントは、『大人の食事とは違う』ということです。
大人の食事は、“基礎代謝に必要なエネルギー”“その他活動に必要なエネルギー”を合算したものを摂取すればいいのですが、子供の場合はこれに加え“成長の為のエネルギー”が必要になります。
そしてそのメインとなるエネルギー源として、たんぱく質/カルシウム/マグネシウム/ビタミンDの適正な摂取が必要になります。

たんぱく質は強い筋肉を作る

たんぱく質は、良質で強い筋肉を作る為に欠かせない栄養素です。
また、たんぱく質が不足すると、病気に罹りやすくなったり、充分な成長が望めなくなったりするというリスクも孕んでいます。
逆に過剰に摂りすぎると、消費しきれないエネルギーとして蓄積されてブクブク太ってしまうこともあります。

ここで注意しなければならないのは、“たんぱく質が豊富な食品(特に肉や卵)はカロリーの高いものが多い”ということです。
身体作りの為にたんぱく質を多く摂りたい一心でやみくもに食べてしまい、結果的にカロリーオーバーで肥満状態を招く選手が世の中にはかなりいます。
では、カロリーを抑えつつ良質なたんぱく質を摂取するには、どうすればよいのでしょうか。
ここで重要となるのは、食材選びです。
鶏であればムネ肉やささみ、豚はヒレ肉などの脂身の少ない肉類魚類もいいです。乳製品もカッテージチーズなど脂肪分の少ないものを選ぶとよいでしょう。

調味料の選択も重要です。
日々の生活で揚げ物ばかりを好んで食べる子は、ソースやマヨネーズなどの調味料を後からベッタリつけています。
マヨネーズなどの調味料に含まれる油分は、見えないカロリーとしてどんどん体に蓄積されていくので、お子さんが揚げ物を食べる際には監視の意識が必要です。

調理法にも工夫が必要です。
炒める/揚げるばかりでなく、茹でる/蒸すといった調理法を駆使することで、余分な油分を摂取することなく、たんぱく質を効率的に摂ることができます。

“良質なたんぱく質”という点では、プロテインが有名です。世間の高校球児は、みな必死にこれを飲んでいます。
最近では子供用の商品も市販されていますが、これはお薦めできません。服用後に「お腹が痛い」と言い出す子がかなりいるのです。これはなぜでしょうか?
たんぱく質の消化吸収と代謝は、胃/小腸/肝臓/腎臓という様々な臓器で行われます。
その中で、たんぱく質は炭水化物等に比べると消化に時間がかかるため、子供の内蔵にとって負担がかかりやすくなります。
これが、運動前にプロテインを摂取すると腹痛を起こしやすくなる原因です。
肉体強化やダイエットに特化したものなど、多彩なラインナップがそろうプロテインですが、お子さんの成長にとって最良のプロセスを踏むのであれば、食事によるたんぱく質摂取をメインに考えて献立作成に取り組んでください。

カルシウムは骨の成長に必要

子供の骨というのは、両端に骨端線(成長線とも呼ばれる)という軟骨があり、これが成長することにより、身長が伸びるというメカニズムになっています。
この骨端線は大人になると固い骨になってしまい、その後、成長することはありません。
若干の個人差はありますが、男子の場合17〜18歳前後で身長の伸びがストップするのはこのためです。
この成長期というのはある意味限られた期間なので、その1日1日を大切に過ごしていく必要があります。
特にカルシウムは人生の中で成長期に最も多く蓄積されるので、この時期にいかに蓄積量を高めておくかが、その後の身長の伸びや大人になってからの適正骨量の保持に大きく影響します。

このように成長期において非常に重要なカルシウムですが、野球少年にとっては汗で大量に排出されてしまうので、その分も考慮して摂取方法と摂取量を考える必要があります。
特に、カルシウムは“日本人が最も不足している栄養素”とも言われているので、家庭内で意識して摂るようにサポートしましょう。

カルシウムを多く含む食品としては煮干しや干しえびがありますが、日々の食事で子供にそれらを食べさせることは不可能に近いです。
それならば、料理の仕上げにゴマをふりかけたり、イタリアンであればパルメザンチーズを多めに使うなどの対策を講じることによって不足分を補いましょう。
ただ漫然と毎日牛乳を飲ませるだけでなく、日々の調理をする中で“常に意識する”だけでも、結果的としてカルシウムの摂取量がかなり違います。

カルシウム摂取において、押さえておきたいポイントがあります。それは、“カルシウムは吸収率が低い”ということです。
カルシウム単体をいくら意識的に摂っても、それだけではうまく吸収されず、無駄になってしまうのです。

マグネシウムはカルシウムの吸収をサポートする

カルシウムを効率よく吸収するには“マグネシウム”の助けが必要で、“カルシウム:マグネシウム=2:1”の割合で摂るのが理想的といわれています。
このバランスが崩れると、いくらカルシウムをたくさん摂っても、骨からカルシウムが溶け出して、場合によっては骨折を招く恐れがあるとさえ言われています。

マグネシウムが多く含まれる食品は、昆布/ひじき/のり等の海藻類、アーモンド/カシューナッツ/ピスタチオ等のナッツ系、豆腐/納豆等の大豆類が有名ですが、比較的さまざまな食品に含まれているので、バランス良く食事を摂っていれば、通常は不足しないはずです。
日本古来の朝食である、豆腐の味噌汁/納豆/焼き海苔といったメニューが、如何に優れているか良くわかると思います。

ビタミンDはカルシウムを血液中に取り込むのをサポートする

マグネシウムと同様に、“運び屋”の如くカルシウムを血液中に取り込むサポートをするのがビタミンDです。
また、カルシウムが排泄されるのを防ぐ作用や、骨端線における骨代謝のバランスを整える働きも担っています。
但し、ビタミンDは多くの子供達が嫌いな青魚やきのこ類に多く含まれているので、これらを食卓のメニューに採り入れることも重要になってきます。

魚類はビタミンDだけでなく、たんぱく質も摂取できるので優良食材です。
また、肉類に含まれる脂の多くが肥満のリスクを併せ持つ“不飽和脂肪酸”なのに対し、青魚は血中の善玉コレステロールを増やして悪玉コレステロールを減少させると言われる、“オメガ3系の脂“が中心なので特注食材です。
その他、テレビなどでも宣伝されていますが、青魚には脳や目に良い”DHA“や、血液の粘度を下げる作用がある”EPA“なども含まれているので、野球少年に限らず家族みんなの食生活に是非とも採り入れたい食材です。

まとめ

“食べ盛り”の野球少年達は、すぐお腹がすきます。特に練習後や試合後はいつもぺこぺこです。
だからこそ偏食は成長の大敵で、あらゆる意味で“大きな選手”になる可能性をも狭めてしまいます。
“ジュニアアスリート達が、次のステップに上がってさらに羽ばたけるか否かは、親御さんの食に対する理解と実行力にかかっている”ということを、ここでは充分理解してください。

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