少年野球の塁審が注意するポイント

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お子さんが、少年野球チームに入ったお父さん。
貴方はよほどの事情がない限り、「一緒に指導者をやりましょう!」と監督・コーチ達から勧誘されます。「お子さんセンスがいいから、一緒に指導すればレギュラーになれますよ!周囲からかけられる甘言は留まるところをしりません。

そして、お父さんコーチになった貴方が、まず間違いなく乗り越えなければならないハードルのひとつとして“審判”があります。しかし、新米お父さんコーチである貴方が、いきなり誰かから「次の試合、主審をやってください。」と言われることはまずありません。とりあえず塁審を何十試合か経験して、試合の流れや塁審・主審の役割分担を知り、そして一番大事な“度胸”が備わった頃合を見はからって、「そろそろ主審をやってください。」と言われるはずです。

それでは、まず現在の少年野球における審判システムの中で一般的である、4審制(4人審判の制度)から説明していきましょう。

4審制における1塁塁審が注意するポイント

1塁塁審は、1塁に走者がいない場合、1塁ベースの後方5~6メートルのラインの外側に立ちます。この時、ラインを踏んではいけません。

1塁に走者がいる場合は、基本的にピッチャーの牽制球に備えます。1塁手のタッチタイミングで正確にジャッジする必要があるので、1塁ベースの後方1メートル前後のライン外側に立ちます。また、牽制球に対する走者のアウト・セーフのジャッジは、1塁手がタッチする意思を見せた時のみ行います。(1塁手がタッチの意思を見せない時は、何もしないでよいということです。)この牽制球が投げられるタイミングで、ボークの判定も行います。(ボークの判定基準は“ボークについて”参照)

打者が内野ゴロを打ち、内野手から1塁に送球される場合、1塁塁審はその送球に対して直角に見ることができる位置に迅速に移動します。少年野球でよく現れる“ライトゴロ”に対しても同様で、直角に見ることが出来る位置に移動します。(この場合の立ち位置は1塁ラインより外になります。)

また、1塁塁審は“線審”の役割も担いますので、頭上を越えるようなライト線の際どい当たりに対するフェア・ファールや、ライトへのホームランに対するジャッジも行います
実はこの“ライトへのホームラン”というのがかなりの曲者で、球場によっては、“ライトフェンスのXXより上に当たった場合はホームラン”というローカルルールがあったりします。そのため、“XX”を越えているかどうかをきちんと確認するために、全力で走って当該地点の出来るだけ近くに行かなければなりません。

4審制における2塁塁審の注意するポイント

2塁塁審は、走者がいない場合、2塁ベースの後方で3塁と2塁の延長線上に立つのが基本です。私が2塁塁審の場合は、さらにバッターの能力を勘案して立ち位置を決めます。(遠くに飛ばせそうなスイングの子がバッターであれば、より立ち位置を深くします。こうすることで、ホームランの判定や大飛球の捕球確認を迅速で確実に行うことが出来ます。)  

3塁のみに走者がいる場合は、2塁ベースの後方で1塁と2塁の延長線上に立つのが基本です。これは3塁塁審がタッチアップに備えて3塁周辺を離れることができないため、レフト・左中間・センターの飛球を一人で追わなければならず、また少しでも早く打球に到達する必要がある、というのがその理由です。

それ以外の場合(1塁、1・2塁、1・3塁、2塁、2・3塁、満塁)は、内野の内側に位置しますピッチャープレートから2塁ベースを結んだラインを3等分して2塁よりの場所を基点として、一歩1塁寄り若しくは一歩3塁寄りのどちらかに立つのが基本です。(通常1塁寄りに位置する場合が多くなっています)。

ただし、内野手が前進守備をとっている場合は、内野手よりも後方に位置するようにします。これは、内野手が捕球する際、邪魔になる確率が高いからです。

2塁にランナーがいる場合は、当然ピッチャーの牽制球にも備えます。牽制球の邪魔になってもいけないので、ピッチャーが右投げ・左投げによっても立ち位置を変えます。(左投げは1塁側、右投げは3塁側にいた方が牽制球の邪魔になりません。)

4審制における3塁塁審の注意するポイント

3塁塁審は、走者がいない場合、3塁ベースの後方5~6メートルのラインの外側に立ちます。この時、1塁塁審同様ラインを踏んではいけません

3塁に走者がいる場合は、基本的にピッチャーの牽制球に備えます。3塁手のタッチタイミングで正確にジャッジする必要があるので、3塁ベースの後方1メートル前後のライン外側に立ちます。牽制球に対する走者のアウト・セーフのジャッジは、3塁手がタッチする意思を見せた時のみ行います。(3塁手がタッチの意思を見せない時は、何もしないでよいということです。)この牽制球が投げられるタイミングで、ボークの判定も行います。(ボークの判定基準は“ボークについて”参照)

また数年前に、3塁への“偽投”がボークの対象に加わったので注意してください。昔は許されていた、“1・3塁の場合等に、右投手が3塁に投げるふりをしてから1塁に投げる”がボークになりました。現在では、少年野球でもほとんどの大会においてボークと判定します。

ポイントを整理すると、「投手板に触れている投手は、1塁または3塁に偽投をしてはならない」ということです。(2塁への偽投は、もともとボークではありません。)
また、3塁塁審は“線審”の役割も担いますので、頭上を越えるようなレフト線の際どい当たりに対するジャッジや、レフトへのホームランのジャッジも行います

その他、3塁塁審の特殊任務として“タッチアップの確認”があります。
犠牲フライが発生するような状況で外野にフライが上がったら、外野手がキャッチする地点と3塁ベースを同時に見ることが出来て、ランナーがスタートする瞬間が早過ぎないことを確認できる場所に、素早く位置取りする必要があります。

主審と塁審の責任分岐点

例えば、サードゴロを捕った時点で、その打球がフェアかファールか。これを判断するのは主審でしょうか3塁塁審でしょうか?

答えはサードが捕った場所によります。3塁ベースより手前であれば主審のテリトリー、3塁ベースより外野方向であれば3塁塁審にジャッジの責任があります

スイングの確認

ハーフスイングの判定において、主審がボール(振っていない)と判定した場合に、キャッチャーは塁審へのスイング確認要求のアピールが出来ます左バッターの場合は3塁塁審、右バッターの場合は1塁塁審がスイングの状況を良く見えるので、主審から指差しされます。その時にスイングであれば“アウト”、スイングしていなければ“セーフ”の動作をして主審の指名に応えてジャッジしなければなりません。

6審制から4審制へ

筆者が子供の頃、テレビ中継で野球を観ると“主審”“塁審”の他に、“線審”という人がレフトとライトにいて、6人という大人数で審判をしていました。しかし、それでも“疑惑の判定”と呼ばれるようなトラブルが何回も起きていました。長嶋茂雄が天覧試合で放ったサヨナラホームランについて、打たれた村山実は亡くなるまで“あれはファールだ”と語っていたのは有名な話です。

その後、試合中に線審が必要とされるシーンが実際問題あまり多くないこと、塁審が動けば大抵は線審の動きをカバーできること、“ビデオ判定”導入が本格検討されたこと、等を総合的に勘案して、現在の“4審制”が主流となりました。(但し、日本シリーズとオールスター戦には今でも線審(今は“外審”と呼ばれる)がいます。)むやみに人数を増やすよりも、人数を絞って技術の高い審判を厳選した方がいいという判断に至ったのでしょう。(プロ野球においては審判員に対する報酬(コスト)の問題も大きく、人員削減・少数化へ突っ走ったようです。)

さらに時代は流れ、近年の少年野球においては、その“4審制”も一般的とはいえない状況となっています。ちびっ子の大会や、参加チーム数が多く膨大な試合数を消化する必要がある大会では、“3審制”という審判団の布陣で試合を行うことが増えています。

3審制とは何か

一般的な“4審制”と“3審制”は、まず各塁審の立ち位置が状況によって大きく違います。審判員自体が一人少ないので当たり前ですね。

  • ランナー1塁、1・2塁、1・3塁、満塁の場合、1塁塁審は一塁後方のファウルラインの外側に位置し、3塁塁審は内野フィールドの2・3塁間に位置します。(1塁ランナーの2塁盗塁については3塁塁審が対応します)
  • ランナー2塁、2・3塁の場合、1塁塁審は内野フィールドの1・2塁間に位置し、3塁塁審は3塁後方のファウルラインの外側に位置します。(2塁ランナーの3塁盗塁については3塁塁審が対応します)
  • ランナー3塁、及びランナー無しの場合は、1塁塁審は1塁後方のファウルライン外側に位置します、3塁塁審は3塁後方のファウルライン外側に位置します。

3審制における誤審の問題

少年野球において3審制の機運が高まってきたことで、今度は“誤審”のリスクが増えています。

長年、青少年の健全育成に尽力してきたボランティアの審判は、高齢者の割合がかなり高くなっています。これは、審判に最も必要とされる“正確なジャッジ”を行う上で、とてつもない弊害となっています。

高齢者審判は“視力”が衰えています。
これは、当然ストライク・ボール、フェア・ファール、アウト・セーフの微妙な判定に大きく影響します。
また高齢者審判は“聴力”が衰えています。
これは、ファウルチップの音が聞こえなかったりすることに繋がります。
高齢者審判は“脚力”も衰えています。
これは、外野への飛球に対して迅速に駆けつけ、出来るだけ近距離でキャッチされたかどうかを確認する際にかなりのハンデとなります。

このように、高齢者審判には誤審の可能性が満載の状態であるにもかかわらず、運営サイドは3審制を強行します。審判が余っているときでも、本部席で大勢くつろいでいます。灼熱地獄の夏や極寒の日などは特に高齢者にとって酷な状況であることは理解できますが、これではいつまで経っても誤審は減りません。

まとめ

お子さんが、少年野球チームに入ったお父さん。
もう“塁審”に指名されたでしょうか。

その場合、嫌々やるのはだめです。どの道やらなければならない運命なのですから、徹底的に勉強して、かっこいい塁審になりましょう。その背中を見ていたお子さんは、知らぬ間にやる気を出し、野球人生全般を良い方向へと導いてくれることでしょう。
野球の神様は、そういった粋な演出もしてくれるのです。

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