指導者同士のトラブルに対する対処法

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記事の目次

少年野球チームにおいて、実際に野球をプレーするのは子供たちです。
しかしながら、子供たちはチームメートと仲良くプレーしているのに、指導をすべき大人たちがトラブルを起こすことがしばしばあります。
その原因は様々ですが、少年野球に対して真摯に向き合い、“真面目すぎる”性格の指導者ほど、発生確率が高いようです。
ここでは、指導者同士のトラブルの種類別に、それぞれの対処を個別に説明します。

指導に関するトラブル

お父さんコーチ達は、日々の練習メニューの中で暗黙の“分担”を持っています。
それは監督から指示される場合もありますが、自分たちの得意分野として自発的にやっている部分もあります。
具体的には“ランニング”“準備体操”“内野ノック”“外野ノック”“バッティング”“ピッチング”“キャッチング”などです。
そして日々繰り返されるこれら練習メニューの中で、指導方針に関して時としてトラブルを起こします。

中でも特に意見の衝突が起こりやすいのが、“バッティング理論”です。

バッティングに関するトラブル

「なにがなんでも叩いてゴロを打て!」という理論が正しいと頑なに信じている少年野球の指導者が、世の中にはかなりの数います。
この理論を正当化する根拠には諸説ありますが、主に下記の理由が大勢を占めると思います。

  • “叩く”意識が、結果的に強い打球を生む。
  • フライでは何も起きないが”叩く”事でゴロを打てば、守備側がエラーする(悪送球含む)可能性が高まる。
  • “叩く”事でスピンがかかってボールが良く飛ぶ。

その一方で、私も含めてこの理論に異議を唱える指導者もかなりの数います。
ここで正反対の理論どうしがぶつかり合い、トラブルが発生するわけです。
特に“自分の子供が自分の理論に反する指導を他の指導者からされている時”に、それは大喧嘩に発展します。

「なにがなんでも叩いてゴロを打て!」はなぜダメなのか

まずバッティングの基本は“ゴロを打つ事”ではありません。
そして、小学生が実際に上から叩くと、バットの軌道はダウンスイングになり、ボールの下部分にバットが入りやすくなるため、むしろフライやファウルチップ系の打球が多くなります。
また、ボールとバットの接点が小さくなるのでミート率が下がり、それに連動して打率も下がります。

そしてこの “叩きつけ”のバッティングが決定的にまずいのは、“フォームが小さくなる”ということです。
このタイプのフォームは須らく“小さくまとまって”いるので、仮に打たれてもシングルヒットで済むことが大半のため、バッテリーも敵のベンチもみんな恐怖心が沸きません。

また、“育成”という観点から見ても、小学生のこの時期から“フォームが小さくなる”様な指導はいただけません。
松井秀喜やイチローのような選手に大きく化ける可能性を持っているかもしれない子供たちの、“才能の芽を摘み取ってしまう“ことになるかもしれないからです。

“フライよりもゴロの方がエラーする確率が高い”というのは事実ですが、上部大会常連のような本当に強いチームに、そんな低い守備力のチームなどまずいません。
“あぁこのチームは、なんでもかんでも叩きつけてのゴロ狙いだな”と鼻で笑われてしまうのが関の山です。
力のある高めの速球を投げ続けられて、気がつけば完封負けでしょう。
強豪チームが本当に恐れているのは、“レベルスイングでブンブン振り回してくるチーム”なのです。
それは、“フライでのアウトは一歩間違えば長打だ”ということを体感的に解っているからです。

また、そのような“叩きつけ”の感覚で打って、たまたまヒットになったからといって、それを「ほ~ら、上から叩いたからヒット打てただろう!」などと“したり顔”をしている指導者が多いのも事実で、反対の理論を唱える指導者たちはいつも失笑しています。
“「叩く」事でスピンがかかってボールが良く飛ぶ。”これもトンチンカンな解釈です。
最近の研究では、打球のスピンよりも初速の方が重要な要素であることがわかっています。
上から叩けば確かにスピンは掛かりますが、打球の速度が低下することで長打率が下がり、その結果、得点力も低下するのは明らかです。

チームにおいて、このような技術論で揉めそうな場合は、監督からの強いリーダーシップが何より重要です。
かくいう私のチームでは、“小学生のスイングとしては物理的に考えてもフラットなスイングが望ましい”との結論で、私から各指導者への講義(洗脳?)を経た後、レベルスイングでの指導を全コーチに徹底させています。

退団に関するトラブル

“指導に関するもの”に並んで多いのが、“退団に関するトラブル”です。
“6年生の秋までチームでの活動を全うして無事退団”となる一般的な子供とお父さんコーチはいいのですが、それを待たずして子供と共に中途退団する場合にも、指導者同士のトラブルが起きます。
具体的には、引越しによるチーム移籍問題です。

引越しによる移籍に関するトラブル

家やマンションを購入した、職場が変わったなどの理由で、お父さんコーチの一家が引越しする場合があります。
別の都道府県に引越しする場合は、退団もやむなしですが、比較的近所への引越しという微妙な例が結構あります。

この場合は、お父さんコーチの意思よりもお母さんの主張が強い傾向があります。
なぜなら、小学校や近所付き合いの矢面に立つのは基本的にお母さんであることが多いからです。

引越しすれば大抵の場合、小学校も転校になるので、家族みんなでその地域のコミュニティに溶け込む必要が生じるはずです。
そして“野球なんてどこでやっても同じでしょ”という安直な考えもあり、“新天地での野球生活開始”をお母さんはまず望みます。
仮にチームに残るとすれば、練習や試合の往復にかなりの時間を費やすはずで、“勉強時間が削られるからやっぱり絶対ダメ”という結論になりがちなのです。

その一方でお父さんコーチの方は、チームの他のお父さんコーチからの引き留め、慰留工作の嵐に悩みます。
それまで一致団結してチームを運営してきた仲間が減るのは大打撃なので、周囲からの真剣な引き止めにあいます。

子供の方は複雑です。今までどおりチームメートと野球はしたいのですが、お父さんがいない平日練習には自力で電車やバスなどに乗って通わなければならなかったりするので、こちらも大変です。

この結論は、最終的に各家庭で決めるしかない問題ですが、その過程で指導者達は“何とかチームに残留できないか”について熱く語ります。
この問題で最も注意すべきことは、酒席で議論しないほうが無難だということです。
感情論になりがちなテーマをアルコール混じりで話すのは、決してよい結果を生まないからです。

私のチームではこのケースが過去に2例あり、お父さんコーチ・選手・お母さんを含めた場を設けての説得を監督の私がして、1件は残留、1件は移籍で決着しました。
それだけ難しい問題であるということですが、このような場合はできる限り早く監督に相談してください。

まとめ

“子供不足”と並んで“指導者不足”はどこのチームでも切実です。
具体的な技術指導云々はもちろんですが、相手は小学生なので“危険防止”の観点からも一人でも多い大人が目を光らせることが必要です。
そんな状況において、数少ない指導者が減るようなトラブルは最優先で解決しなければならない課題です。
自分だけの理論にとらわれず、監督や他の指導者とも議論を交わすことでトラブルを回避し、楽しい少年野球ライフを続けてください。

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