少年野球でよくある保護者からのクレームと文句を言っていい場合

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記事の目次

12年も監督をやっていると、色んな親御さんに出会います。
最近でこそチームも私もある程度“成熟”してきたので、初歩的な質問やトンチンカンなクレームは、手前のレベルで食い止めたり解消したりするスキームが出来上がりましたが、就任当初は“何でもあり”の世界で本当に酷いものでした。

ここでは、様々なクレームを種類別に説明していきましょう。

なぜ時間どおりに練習が終わらないのか

塾やお稽古事の場合でも、こんな文句を言うのでしょうか?
「迎えに行ってもいつまでたっても解散にならない。」「練習しすぎじゃないのか。」「一体何時に迎えに行けばいいのか。」「その後に予定を入れているのに。」「このチームは時間を守らないのか?」トンチンカンな親御さんのクレームは、とどまるところを知りません。

グランドの利用時間自体は決まっていますが、練習の場はグランドの中だけではありません。練習後は、ほぼ毎回子供と指導者でミーティングを行います。場合によっては、その後、選手達だけで反省会をさせることもあります。
そもそもボランティア団体での活動に対して、練習量が多すぎるとか、時間が長いと文句を言うのは、預けている親のスタンスとして根本から間違っています。
チームを信頼し完全に預ける事ができないのならば、自分で教えてもらうしかありません。

現在、私のチームの親御さんたちの間では、「練習終了は終了予定時刻+1時間」というのが暗黙の理解になっています。
それでも終わりそうにない場合は、監督から一斉メールが発信されることになっていますが、これまでに発信されたことはありません。

監督の采配がおかしい

「何で初球から振らないんだ。」「なんでバントばっかりするんだ。」「なんでいつまでも先発ピッチャーを代えないんだ。」
特にご自身が野球経験者であるお父さんの場合、こういった監督采配に関する文句が出ます。
だいたいの場合、陰でこそこそ文句を言っていますが、私の耳に入った場合はその人を呼んでこう言います。
「お子さん共々お辞めいただいて結構ですので、新しいチームでも作って貴方のスタイルで野球をやってください。」

初球から振らせないのも、バントを多用するのも“私の野球スタイル”なのです。私のチームに対する指示を、監督である私が出しているのに、誰にも文句は言わせません。
打たれている先発ピッチャーを代えないのにも、監督なりの意図があるのです。
「XXをエースとしてなんとか独り立ちさせたい。」「最近YYは天狗になっているので、今の時期にガツンと一回打ち込まれたほうがいい。」など、思いは様々なのです。

そのかわりに公式戦で負けた場合は、全て監督の責任です。
『勝てば子供の手柄、負ければ監督の責任』というのが少年野球の不文律です。
常に全責任を背負って試合を戦っている監督が、“ああだこうだ”言う保護者の采配批判に耳を貸すことはありませんし、その必要もありません。

なぜうちの子よりへたな子がレギュラーなのか

「XX君はうちの子よりへたくそなのに、なんでうちの子はベンチであの子はレギュラーなんだ。」
これも、保護者が発する困った発言の例です。
“うちの子よりへたくそ”かどうかを決めるのは、保護者であるお父さんお母さんではありません。指導者です。
そもそも、上手な子ばかりを試合に出すわけではありません。キャプテンだって練習を休めば試合に出さないし、試合に出ることだけが少年野球の目的ではありません。

このような私の回答に納得できず、お子さんと共にチームを去っていった家庭がありましたが、その後サッカーチームに入ったものの長続きせず、そこも辞めてしまったようです。おそらく、サッカーチームでも“うちの子よりへたな子”がスタメンだったのでしょう。
これは、“子供の可能性を親がことごとく潰してしまった”という笑えない例です。

親がチームに文句を言っても良い場合とは

では、親がチームに対して文句を言っていいのは、どんな場合でしょうか。
具体的には下記の2つです。

  • 暴力を振るわれた場合
  • 怪我や事故の予防に不備があった場合

暴力を振るわれた

もしチーム内で殴る蹴るが日常的に繰り返されているのであれば、地域の少年野球連盟等に通知して、指導者不適任者として対処してもらう必要があります。
そして、その連盟の動きが納得できないものであれば、役所(教育委員会)に訴え出ることも出来ます。
言葉による暴力についても、内容/状況があまりにひどい場合は、対象となる可能性があります。

ただし、一人の子供や親御さんからの意見は“信憑性に乏しい”と判断され、門前払いされる可能性が高いです。
訴え出る場合は、少なくとも“保護者会の総意”という様な形で、客観的なエッセンスを加えてから行動をおこしましょう。
また、個人で行動した場合は指導者や他の保護者から逆恨みされ、思いもよらない報復を受けるリスクがあることからも、常に集団で行動する意識が重要になります。

役所(教育委員会)にはこの手の苦情が毎日山のように来るので、相当な覚悟を持って、さらに状況証拠を含めた理論武装をして臨まないと、結果的に無駄足を踏むことになります。
しかし、“暴行により肉体的/精神的な苦痛を受け、退団に追い込まれた”として、実際にチームの代表総監督が賠償金の支払いを命じられた判例もありますから、泣き寝入りはせずにまずは保護者会で問題提起しましょう。

但しここで押さえて置くべきポイントは、“裁判で勝つことが目的ではない”ということです。
保護者会で問題提起されたことで監督・指導者が改心し、“あるべき指導”に変わってくれればそれにこしたことはないのです。
“頭をコツンとげんこつされた”程度で、“監督更迭”や“自身のチーム移籍”や“教育委員会への訴え”を考えるというのは、余計な時間を浪費するだけです。
今在籍しているチームを自浄することに、まず精力を傾けましょう。

予防できた怪我への対応を怠った

“指導者として明らかに予見可能な状況”への対応を怠り(誤り)、事故が起きた場合も文句を言うことが出来ます。
例えば“猛暑日”なのに適度な水分補給をさせずに練習を続け、“熱中症”を発症して救急車で病院送りになった。
この場合は、ジャグ補給を担当している、お茶当番との連携不備についても検証する必要がありますので、文句を言うというよりも保護者会で再発防止に向けた施策を打つべきでしょう。
“雷注意報”が発令されているのに練習を行い、雷に打たれた。この場合は、前述の“教育委員会への訴えレベル”でしょう。
“雷注意報”が出ていることを知らなかったという場合は若干気の毒ですが、“練習当日朝には天気予報を確認する”という指導者として非常に重要なルーティーンが欠けていたことが根本原因と考えられます。
晴れていても雷は落ちます。また、野球場やゴルフ場のような広い場所において、雷は特に危険です。
そんな時にそんな場所で“金属バットを振る”なんて自殺行為です。
また、マウンド上で雷に打たれて亡くなった愛知県の高校生ピッチャーの話を覚えている指導者は、“雷注意報発令”の日に練習など絶対にやらないはずです。

まとめ

チームに対する文句なんて、誰も言いたくありません。しかし“言わなくちゃならない”場合があるのも事実です。
また、“チームに対して文句を言う”ということは、監督・指導者に対してある意味“反旗を翻す”ということです。
当然、その後チームの中で居心地も悪くなります。
その悪い居心地を考慮してでも“言わなくちゃいけない”という決断が必要になった場合に、小欄を参考にしていただければ幸いです。
繰り返しになりますが、“文句を言わなくて済めば、それに越したことはないのです。”

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